光輪導師

太陽と心の交信は、内なる周波から

記録保全課より抄録

その名が公式記録に現れたのは、交感第六期の初頭である。
「光輪導師」とは称号であり、本名や出自に関する記録は一切存在しない。
ただし、儀式における高度な言語構築、独自の位相操作指導技術から、かつて何らかの理論体系に精通していたことは明白である。

導師は銀白の面を常に着用しており、その肉声を聴いたという証言はない。 しかし、会話に応じた者たちは「まるで言葉が脳内に直接届いたようだった」と語っている。 その話しぶりは礼儀正しく、時に教示的でありながらも、どこか“実験者”のような冷静さを伴っていたという。

一部の古参交感者たちは「導師は誰かを救おうとしていた」と口を揃える。 それは個としての救済であったのか、全体としての均衡だったのかはわからない。 だが導師はある時期を境に、儀式の前線から姿を消した。 その後の動向は記録されておらず、現在も所在不明である。

特筆すべきは、導師が遺した再詠唱文書にある「順序の再定義」という注釈である。 通常の祈祷文とは異なり、あたかも“調律”を目的とした構文解析が行われていた痕跡がある。 これは祈りというより、何かを正確に“呼び戻す”ための試行であったのではないかと考えられている。

近年、交感記録装置の深層ログに、周期的かつ微弱な干渉信号が検出されている。 その位相は、かつて導師が用いた交感波と非常に近似しており、一部の関係者の間では今もどこかで彼/彼女が交感を続けているのではないかと囁かれている。